研究課題/領域番号 |
25380019
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
平野 仁彦 立命館大学, 法学部, 教授 (80189852)
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研究分担者 |
渡辺 千原 立命館大学, 法学部, 教授 (50309085)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 生命倫理 / ソフトロー |
研究実績の概要 |
生命倫理ソフトロー研究に関し2015年度は次の3点を上げておくことができる。 1.医学臨床研究倫理の指針順守に関わるパネルディスカッションが国立医大主催で行われ、パネリスト委嘱を受けて議論に参加した(11月京都/2月東京)。倫理不正の構造的要因としての利益相反と研究データの改ざん・捏造等の問題は患者の自己決定および人格的利益保護に関わる生命倫理の問題と直接関係するわけではないが、「臨床」の倫理問題として構造的に関連していることが明らかになった(生命倫理と医療倫理の連関)。 2.法科大学院における講義「生命倫理と法」において、医療倫理4原則と生命倫理の基本原理「人間の尊厳」との関係について立ち入った考察を行った。倫理的規制ソフトローの規範体系上の位置づけに一定の見通しがもてるようになった。 3.大学院法学研究科における修士論文指導の関係で、法的責任判断要素としての因果関係について基礎理論的考察の展開に与した。現代法の全体的展開動向と法規範の競合・複雑化の中で、法的均衡をさぐる司法的判断には「相当性」規準が不可欠であること。これは、経験則を介してソフトローの在り方を左右する1つの規範原理でもあるとの知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
生命倫理ソフトローに関する本研究ではこれまで、基礎的理論研究について、上述の通り一定の洞察にもつながる考察が進められてきているように思われる。 他方、その実態解明については、診療ガイドラインやハイブリッド規制に伴う実際上の問題を除き、直接の規制対象となっている医療行為について、現状把握の課題がいまだに残っている。
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今後の研究の推進方策 |
生命倫理ソフトローの実態解明を進め、本研究のまとめを行わなければならない。 実態解明には、利用現場からソフトロー実現の実際に関する情報を得るとともに、規制担当官庁への聴き取り調査をも併せて行なう。 そして、本研究に一定の区切りをつけるため、上記実態調査で明らかになる問題点を踏まえて、生命倫理ソフトローの機能と位置づけについて、論文の形で研究の成果をまとめることにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までに比べ負担の増えた授業および学内・学外委員関係の会議等で多忙を極め、また一時体調も崩れ不調であったため、研究の進捗が遅れた。
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次年度使用額の使用計画 |
ソフトロー実態調査の実施と研究まとめに使用する。
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