科学的裏付けはないが、環境汚染の可能性が疑われる化学物質等の排出規制に際し、行政庁は、法定の「法規命令」形式で規制基準を規律するのではなく、事業者団体等との間で交渉を行い、規制基準の策定それ自体とその具体的内容につきコンセンサスを得ようとし、最終的に「事業者側が一定の排出規制を行うことを条件に、排出基準を定める法規命令の制定を回避する」ことを内容とする契約を締結することがある(法規命令制定回避型契約)。本研究は、ドイツの議論等を参考に、法規命令代替型契約の法的問題点を検討し、それが民主的正統性の観点から問題があり、法的に許容されないこと(契約による法規命令の内容決定の違憲性)を明らかにした。
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