研究課題/領域番号 |
25380024
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
三宅 雄彦 埼玉大学, 経済学部, 教授 (60298099)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 憲法理論 / 共和主義 / 教会法学 / 職務概念 |
研究概要 |
平成25年度においては、ドイツ憲法理論の古典的存在としてのルドルフ・スメントの見解をその職務概念の観点から再検討する作業、及び、彼の職務概念が生成され展開されてきた文脈として教会法上の職務概念の意味を確認する作業を、それぞれ行った。 第一に、スメント学説における職務概念を検討する作業を行った。既に彼自身の手により公表されている論文においてこの概念の意味を確認するだけでなく、彼の未公刊論文、中でも1934年の講演草案「現代の憲法問題とドイツの学問」について詳細な検討を加えた。とりわけ後者は、現在では判読困難な当時のジュッターリン体と呼ばれる書体による手書き原稿であるため、ゲッティンゲン大学のハンス・ミヒャエル・ハイニヒ教授、ユルゲン・シャールマン博士らの協力を仰いだところである。この成果については、平成26年度中に公表する予定である。 なお、この作業の過程において、スメント主著の一つである『国法論文集』が登場した背景も検討することができた。これに関しては、三宅雄彦「スメント『国法論文集』の出版と改訂」として近く公表する予定である。 第二に、教会法学における職務概念の意味を確認する作業を行った。これについても、ゲッティンゲン大学のハイニヒ教授、ヘンドリク・ムゾンニウス博士の協力を仰ぎながら、ドイツ福音主義教会法学の全体像、及びその歴史的展開の中での当該概念の構造を分析したところである。具体的には、現代ドイツの代表的神学者の一人、マルティン・ホネッカーの見解を素材としながらの検討であるが、この成果については、三宅雄彦「教会法の神学的基礎」として既に公表済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スメント職務概念の意味内容を検討する作業、とりわけ、ゲッティンゲン大学附属図書館の所蔵するスメント文庫の資料を、詳しく調査する機会が得られ、その調査の成果を具体的に利用する作業を展開することができたため。加えて、教会法上の体系構造や基礎概念を検討することにより、スメント学説の教会法上の文脈を精査する前提条件を獲得することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
教会法学上の職務概念については、スメント学説のみならず、ドイツ福音主義の教会法学者、とりわけスメントの周辺、例えば、ジークフリート・グルントマン、ヨハンネス・ヘッケルなどの、20世紀の教会法学者の見解を検討すること、更には、その成果を踏まえた上で、これまで研究してきたスメント門下の国法学者の職務概念と突き合わせながら、職務概念の教会法学上と国法学上の意味連関を検討することを、予定している。
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