平成27年度においては、研究計画のまとめとして、ドイツ教会法学及び憲法理論における職務概念の世俗の実定憲法解釈学における役割を再検討する作業、及び、同概念の古典的理論家としてのルドルフ・スメントの戦後ドイツ学界における役割を再検討する作業を、平成26年度に引き続き、それぞれ行った。
第一に、職務概念の世俗の実定憲法解釈学における役割を再検討する作業を行った。一つには、ドイツ連邦憲法裁判所の判例理論において、職務理論がどのように展開されるかについて、二つには、憲法変遷論を具体例として、職務概念により構築される職務憲法の構想がどのように発展しうるかについて、それぞれ検討した。前者については、日独憲法対話(国際学会)において報告しており、また後者については、ドイツ連邦憲法裁判所判決の評釈2篇をドイツ憲法判例研究会編『ドイツの憲法判例4』で平成28年秋に公表の予定である。
第二に、スメントの戦後ドイツ学界における役割を検討する作業を行った。一つには、戦後ドイツにおける彼の職務理論の継承の問題について、二つには、より広い文脈で戦後ドイツ大学史の文脈における彼の憲法理論及び国法理論の意味、そして彼のゲッティンゲン大学の戦後初代学長としての役割について、それぞれ検討した。前者については、三宅雄彦「スメントの後任問題」として既に公表済みであり、後者については、三宅雄彦「学長時代のスメント」として平成28年5月に公表の予定である。
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