研究課題/領域番号 |
25380029
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
君塚 正臣 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 教授 (80266379)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 先例拘束性 / 成熟性 / ムートネスの法理 / 司法制度改革 / 適正手続 / 平等 |
研究実績の概要 |
司法権・憲法訴訟の研究を進め、平成27年度は以下の論説を公表した。 「続・私立大学入学試験『政治・経済』における日本国憲法の扱いについて──司法制度改革・法教育の導入以降」横浜国際社会科学研究20巻3号15-38頁(2015年9月20日)では、司法権・憲法訴訟論の進展、或いは司法制度改革に伴い、裁判員制度の導入もあって法教育が高校以下の教育に反映されて以降の大学入試「政治・経済」の問題を、過去の論考と比較しながら、検証した。 「判例の拘束力──判例変更、特に不遡及的判例変更も含めて」横浜法学24巻1号87-132頁(2015年12月25日)では、判例の法的拘束力の有無の議論を行い、日本は大陸法系ゆえに法的拘束力なしとの結論を斥け、判例変更について裁判所が法的説明を十分に行う責務があることを論じた。 「成熟性・ムートネスの法理──『司法権』要件の動中静的要請」横浜国際社会科学研究20巻4=5=6号13-28頁(2016年1月20日)では、憲法訴訟論の一環として、裁判所に憲法判断を求める要件が、訴訟の最初から最後まで存在することが原則として必要であり、例外とされる場合は何であるかを論じた。 また、本年度には、研究ノート「刑事訴訟法281条の4違反被告事件鑑定意見書」横浜国際社会科学研究20巻3号113-134頁(2015年9月20日)、判例研究「株主会員制のゴルフ場会社及びその運営団体が性別変更を理由に入会及び株式譲渡承認を拒否したことに対して、憲法一四条一項及び国際人権B規約二六条の趣旨から公序良俗に反し違法であるとして損害賠償を認められるか(積極)」判例評論678号14-20頁(判例時報2259号144-150頁)(2015年8月1日)を執筆した。このほか、川岸令和ほか『憲法』〔第4版〕(青林書院、2016年3月30日)を分担執筆するなどした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
大きなテーマが確定している中、その中で執筆すべき課題も幾つかに確定しており、法科大学院長(法曹実務専攻長)退任後、若干の余裕が生まれたため、これを順調に執筆することができた。特に判例の拘束力についての長めの論説を公表できたことは大きい。
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今後の研究の推進方策 |
研究を完結させるためには、議員定数不均衡問題を論じ、その司法審査基準のほか、訴訟論的課題を論じる必要があり、次年度の課題である。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研費で購入するほどの書籍や旅費の出費がなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、法律系の予算が依然として少額に止まり、科研費獲得者でも個人研究費が6万5000円にとどまる。このため、学会費を除く研究費の多く、特に、書籍の多く、旅費、電磁情報獲得のための経費のほぼ全額を出費することとなるため、大幅な出費増となるものと思われる。
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