2016年8月にドイツ連邦共和国のブレーメン州都ブレーメン市及びメクレンブルク・フォアポンメルン州都シュヴェリーン市,2017年3月に同じくラインラント・プファルツ州都マインツ市及びザールラント州都ザールブリュッケン市の各下級建築監督官庁を往訪しての現地調査ないし質問状に対する回答による調査並びに各市所在の州立・大学図書館及び専門書店を往訪しての関連文献収集を実施し,建築監督上の行政強制手段及び行政制裁手段の適用状況及び実務運用実態並びに同官庁の行政執行体制について,関連するデータ,情報及び関連文献の収集を行った。 各市の建築監督官庁における建築監督行政においては,州行政執行法上の義務履行強制手段としての強制金が最も活用されており,かなりの程度高い目的達成を実現していることが確認された。その他の強制手段としての代執行及び州建築法上の直接強制としての封印措置等は,強制金を補充するかたちで比較的少数の実績により適用されているが,(代償)強制拘留はほとんど適用されていないことが確認された。さらに,義務違反に対する制裁手段としての連邦の秩序違反法に基づく過料については,建築監督官庁の執行体制の許す範囲内で,あるいは建築監督官庁とは別の秩序局において,強制金とも連携させ,義務履行の遅延に対しては比較的高額の過料を科すかたちで適用されていることが確認された。各市の建築監督官庁における上掲の義務履行確保手段の適用実務においては,州立行政専門大学における3年間の公務員養成教育を受けて着任した行政職公務員が技術系職員と連携して重要な役割を果たしていることが確認された。
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