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2015 年度 実績報告書

国民の労役提供義務の憲法的正当化に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25380032
研究機関金沢大学

研究代表者

山崎 友也  金沢大学, 法学系, 准教授 (80401793)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード刑事法 / 人身の自由 / 意に反する苦役 / 裁判員制度 / 死刑制度
研究実績の概要

本年度は,憲法18条後段が禁止する「意に反する苦役」の現代的意義に関する論考を公表し(1),その後,人身の自由を規律する刑事手続への国民参加の意義に関する論考を公表した(2)。また,その副産物として,人身の自由を規定する統治システムに関する概説書を共著で公表した(3)。
(1)は,裁判員制度を合憲とした最高裁大法廷判決を素材に,憲法18条後段が禁止する「意に反する苦役」に関する判例・学説を整理・分析したものである。同判決は,その趣旨の不明確性を必ずしも否定することができないものの,裁判員の負う義務・負担は同条後段が禁止する「意に反する苦役」」自体に当たらないと解したものとして賛同できる。他方,学説は同条後段に関し,強制労働一般を禁止する広義説を採用する傾向があったが,同説では現行諸制度の憲法適合性を説明し切れない。したがって,同条後段が明示する刑罰に準じる苦痛を与える強制労働のみが同条後段の禁止対象と解する狭義説を採用すべきと主張した。
(2)は,刑事手続への国民参加を求める諸制度に関して,やや冷めた視点から検証を行ったものである。とりわけ,裁判員制度は,国民の統治主体意識を涵養するものとして不十分な効果しかないのみならず,法曹が支配する刑事手続を変容させるものとしての効果も薄いといわざるをえない。これは,制度実施当初から,刑事手続に関する国民の役割を否定的に捉えていた帰結とみるほかないが,その一方で,死刑制度の存置に関して,国民世論を正当化の根拠にするのは矛盾していると論じた。
(3)は,統治システムのなかで法の支配,安全保障,2院制,憲法改正手続がそれぞれ有する意義について,解説したものである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (2件) 図書 (3件)

  • [学会発表] 「安保法」雑感2015

    • 著者名/発表者名
      山崎 友也
    • 学会等名
      北陸公法判例研究会
    • 発表場所
      金沢大学(石川県金沢市)
    • 年月日
      2015-11-15 – 2015-11-15
  • [学会発表] 現代における「自己決定権」の存在意義2015

    • 著者名/発表者名
      山崎 友也
    • 学会等名
      日本公法学会
    • 発表場所
      同志社大学(京都府京都市)
    • 年月日
      2015-10-18 – 2015-10-18
  • [図書] 高見勝利先生古稀記念 憲法の基底と憲法論2015

    • 著者名/発表者名
      岡田信弘・笹田栄司・長谷部恭男編
    • 総ページ数
      1176
    • 出版者
      信山社
  • [図書] トピックからはじめる統治制度2015

    • 著者名/発表者名
      笹田栄司・原田一明・山崎友也・遠藤美奈
    • 総ページ数
      258
    • 出版者
      有斐閣
  • [図書] 現代社会と憲法学2015

    • 著者名/発表者名
      佐々木弘通・宍戸常寿編
    • 総ページ数
      304
    • 出版者
      弘文堂

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公開日: 2017-01-06  

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