研究課題/領域番号 |
25380040
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
赤坂 幸一 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90362011)
|
研究分担者 |
上田 健介 近畿大学, 法務研究科, 教授 (60341046)
木下 和朗 北海学園大学, 法務研究科, 教授 (80284727)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 議会制度 / 両院制度 / 議院内閣制 / 憲法史 |
研究概要 |
両院制の比較検討を行うため、ドイツ連邦議会およびドイツ連邦参議院の各事務局を中心に実務に関わる訪問調査を実施し、両院間の調整メカニズムの具体的なあり方に関する実務刊行や法規運用状況、専門文献の収集を行った。同時に、このような議会制度の運用の在り方に対し、公法学・憲法学の観点から分析を行うため、次の三つのアプローチを併用しつつ、両院間の政策調整メカニズムが抱える問題点の抽出を行った。 第一に、わが国の議院内閣制における政府の関与メカニズムを考察するため、主としてイギリス型議院内閣制との比較法的分析を行った。 第二に、このようなわが国の議院内閣制が、日本国憲法の制定時にどのような構想の下に立案され、その後この構想がどのように変容ないし挫折していったのか、その背景を、新たに発見された膨大な憲政史料を用いつつ、実証的に検討することを試みた。 第三に、議院内閣制下の議会運営実務の在り方に比較法的な観点から検討を加えるため、ベルリン高等研究所の協力の下に、議院内閣制と現在のアクチュアルな憲法問題との関連を巡るシンポジウムを行った。具体的には、内閣と議会を対立的にとらえる君主制時代に由来する諸概念と、内閣・議会多数派を一体的に捉える議院内閣制に由来する諸概念を分析しつつ、近年ドイツ連邦憲法裁判所に継続した具体的事件(ドイツ鉄道株式会社事件や銀行監督官庁事件)が議会の「情報要求権」の観点からいかに評価されるか、また、欧州統合が進展してゆく中で、議院内閣制に由来する「共同統治」理念が、欧州救済措置判決やESM事件(2014年3月18日判決言渡し)においてどのように展開されているかの分析を試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較憲法的な観点からの検討はイギリス、ドイツの二か国にとどまっているものの、両者については文献調査、現地調査、成果発表のいずれの面でも当初予定を上回る進捗を見たほか、憲法史的な観点からの考察も、史料発掘・成果発表のいずれの面においても、初年度において当初予定以上の進捗を得ることが出来たため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、初年度に得られた比較法的な知見を補うための文献調査をさらに進化させると共に、その過程で生じた問題意識を踏まえて、英独の公法学者と学術上の意見交換をより深いレベルで行うべく、そのための合同研究会の開催を予定している。初年度において公表した研究成果を踏まえつつ、最終年度には、上記の知見を綜合した成果を公表し社会還元を図りたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
初年度においては、各分担研究者による成果発表が相次ぎ、予定されていた海外調査を部分的にしか実施しえなかったため。 上記の海外訪問調査・文献収集は、2年度目に延期した上で実施することとした。
|