研究実績の概要 |
本年度は,昨年度に継続してRoberts Court以前の定義付け衡量に関する主要な連邦最高裁判例(猥褻、名誉毀損、プライバシー 侵害、営利的言論、憎悪言論、著作権侵害、煽動等に関する判例)を収集し,分析した。これらに関する学説は膨大な量に及ぶため,最高裁判決,及びその主要な評釈に限定して考察を行った。また,研究計画段階では予定していなかったが,本研究課題に関わる多数の論文,著書が公表されたこともあり,特にRoberts Court下の判例を分析,検討するものに限定して詳しく検討を行った。特にGregory P. Magarian, The Marrow of Tradition : The Roberts Court and Categorical First Amendment Speech Exclusions, 56 William & Mary Law Review 1339 (2015)は重要論文であり,詳細に読み込んだ。これらの学説を十分に検討したうえで,前年度に検討した諸判例(Holder v. Humanitarian Law Project, 130 S. Ct. 2705 (2010); US v. Stevens, 130 S.Ct. 1577 (2010); Brown v. EMA, 130 S. Ct. 2398 (2011); Snyder v. Phelps, 131 S. Ct. 1207 (2011); Sorrell v. IMS Health Inc., 131 S. Ct. 857 (2011); US v. Alvarez, 567 US _ (2012))を下級審段階から再度検討した。当初の予定では日本の定義付け衡量に関する判例の検討を最後に行う予定だったが,アメリカの学説の検討に時間を要したため,ほとんど分析ができなかった。今回は判例及びその評釈を収集し,整理する作業を行うにとどめた。
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