知的財産法は、管理可能性なき無体物に管理権を設定することで、当該無体物の私物化、商品化を可能にしている。知財法は、有益な情報の生産、頒布に仕えているといえる。 ただ、この法制度は、無体物の自由利用を制約するものでもある。知財法制なかりせば自由利用できたはずの情報は、いまでは生産者、権利者の許諾なく利用できない。そして、この法規制の枠組は、憲法上の重要な価値とされている表現の自由との関係においてとくに顕著である。 本研究は、知的財産のうち標識法(営業上の信用に化体する標識を保護するもの)に分類される商標をとりあげ、同権利を保護することの表現規制的側面について憲法学の視点から分析したものである。
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