最終年度である平成27年度においては、連携研究者である晴山一穂専修大学教授が2016年3月10日から同月20日までパリに出張し、コンセイユ・デタ、エナ、地方分権及び公務員制度賞において聞き取りを行い、公務員制度の歴史と概要、最近の公務員制度改革と特徴等について調査を行い、これらの点に関するフランスにおける最新の動向を知ることができた。また同じく平成27年度においては研究代表者である渡邊賢大阪市立大学教授と連携研究者である同志社大学の大島佳代子教授がコロンビア大学で調査を行い、コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジのJay Heubert教授と面談を行い、教育の場における教員による児童・生徒に対する権限行使のあり方などを含めて、教員の労働条件の労使関係のあり方に関する合衆国における動向とその理論的意義を知ることができた。 本研究は、公務員の労使関係の特徴を比較法的に明らかにすることと、公務員の労使関係の中で特殊性を有すると思われる教員の労使関係についてその特徴を明らかにすることを目的としていたところ、研究期間全体を通じて見た場合には、平成25年度・平成26年度・平成27年度においては合衆国における調査を通して、合衆国における公務員の労使関係の特徴と、教員の場合に児童・生徒に対する教育に当たるという特殊性に由来する教育公務員の労使関係に見られる特徴を明らかにすることができた。また、平成27年度においてフランスを対象とする調査が行われたことによって、フランスにおける公務員制度の特徴・その労使関係の特徴を、最新の制度的動向も含めて、明らかにすることができたと同時に、エナ〔国立行政学院〕における調査を通して、エナの歴史や教育システムの概要と、エナ教育の最近の特徴を明らかにすることができた。
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