本研究は、リスク現実化の予防を目的として国家が市民生活に介入する現代的な立法動向に着目して、憲法上の人権保障の観点から、その規制が許容される範囲と条件を確定することを目的とする。 国家のリスク管理的活動が人権保障と相互依存的関係に立つ場合と緊張関係に立つ場合が識別され、後者において国家介入の許容性を判断するために、立法目的達成に関わる価値判断の構造的検証と、介入効果予測に関わる事実認識の正確性検証の両者を分離して審査対象とし、それぞれの過程において国会と裁判所の間の相互検証を作動させる審査枠組の採用が必要であることが明らかになった。
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