研究課題/領域番号 |
25380053
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
上田 健介 近畿大学, 法務研究科, 教授 (60341046)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 政府統制 / 平議員 / 野党 / 政治的コントロール / 法的コントロール / イギリス憲法 |
研究実績の概要 |
昨年度の報告書に記載していた、①日本における政府の責任追及過程の枠組みと実際について整理した報告は「首相・内閣に対する統制」(『憲法問題26』7~21頁)として、③ここ十数年の日本の政党政治の展開を前提とする与野党の意義と政府に対する政治的コントロールのあり方に関する論考は、「政権交代と与野党の役割」(『現代社会と憲法学』135~150頁)、④政権交代時のスムーズな移行を可能とするための野党と公務員との事前接触ルールに関する論文は「政権交代と公務員」(阪本昌成先生古稀記念『自由の法理』179~210頁)として、公刊された。昨年度報告書の②については、すでに脱稿済であり、近日中に公刊されるはずである。 今年度は、①ウエストミンスター制のもとでの憲法変動について、議会主権との関係に留意しながら検討を行ったほか、②もうひとつの政府の責任追及過程として重要な(とりわけ近時の日本の憲法をめぐる状況のもとで社会からもしだいに注目を集めつつある)法的コントロールのあり方との関係で、ウエストミンスター制における近時の法的コントロールのあり方について考察を加えるとともに、③日本の最高裁判所裁判官の研究を行った。③の一部については、今年度すでに「千葉勝美――事実をみつめて」(法律時報88巻2号95~100頁)として公表した。①②については、関係する論考が2016年度中に公刊される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本の実証研究について、聞き取り調査はあまり進んでいない。イギリス研究について、文献調査はある程度進んでいるが、渡英しての現地調査が実施できなかった。3月に調査を予定していたが、議会の閉会直前に当たり、職員に対するアポイントメントを取ることが叶わない等の事情が発生したため、これを延期したところである。また、昨年度の報告書に記載した通り、今年度は申請時に予定していなかった重要な公務が入り、相当の時間をその公務に充てなければならなくなったことも大きい。
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今後の研究の推進方策 |
上記の重要な公務を平成28年度にも継続して務めなければならないため、日本の実情に関する大規模な聞き取り調査の実施は極めて困難となった。そこで、昨年度に引き続き、政党・議会関係者に対する個別のインタビューを行うことで、次の研究への下準備を行いたい。他方、従来、ウエストミンスターモデルとの比較の中で、主に政治過程に着目してきたが、今年度の研究実績の概要に記入した通り、裁判所による法的コントロールにも関心が拡がってきている。今年度も引き続き、裁判所による法的コントロールの研究もつづけ、こちらの方面でも成果が挙がるようにしたいと考えている。なお、イギリス調査については、少なくとも9月に渡英することに加え、(公務との関係で厳しいところもあるが)できれば前期中にも議会関係の訪問調査を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
上記のとおり、3月に予定していた現地調査が延期となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のとおり、9月に学会に参加するのに加え、可能であれば、前期に延期した現地調査を実施したい。
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