本研究においては、貨幣の法的本質について、国際私法学の思考に基づく分析を行った。貨幣に関する近時の法的分析は、それを使用する個人の視点が重視される傾向にあるが、他方で、貨幣が形成される社会集団との関係性を無視することはできず、その関係性の中にこそ本質的要素が存在すると考えられる。研究期間内に貨幣の法的本質自体の解明には至らなかったものの、貨幣の法的分析のために、双方の視点を調和する理論的な分析枠組みの構築が必要であることが確認された。 なお、具体的な成果としては、国際取引に関連する英語の論文を執筆し、当事者自治の原則の分析のために必要な双方の視点を調和する理論的分析枠組みの探求を行った。
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