私の研究は特に国際刑事裁判における「公正な裁判」とは何かという問題について考察した。国際刑事裁判に関しては、裁判の手続に関する規範については国内法上発展してきた「公正な裁判」概念がほぼ妥当する。他方で司法制度としての裁判所の公正さについては、国内法体系の概念を単純に類推することはできないが、国際裁判も「独立性」が重要であるとされる。こうした「独立性」は通常、裁判官に対する規範として確保される。さらに国際「刑事」裁判については、特に犯行地の国内裁判権や裁判所を設立した国々からの独立性が問題となるが、それぞれの裁判所の独立性は当該裁判所の裁判権(管轄権)の存立基盤に照らして確保されるべきだろう。
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