研究課題/領域番号 |
25380063
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中野 俊一郎 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (30180326)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際私法 / 国際民事訴訟法 / 国際仲裁 / 当事者自治 |
研究概要 |
2013年度は、研究計画の初年度にあたることから、研究計画全体のグランドデザインの具体化を主眼として、国際民訴法・仲裁法の各分野を中心として、当事者自治原則の妥当性が認められる問題領域(管轄合意、仲裁合意、それらの有効性判断の準拠法、仲裁手続準拠法、実体判断準拠法等)を洗い出し、趣旨・目的等を概括的に検討する作業を行った。これらは次年度以後の研究のための基礎的準備作業になるため、活字としての成果に至るものではない。国際仲裁に関しては、6年前に開始したシンガポールの実務家との共同によるドイツ、米国の仲裁関係判例の研究を継続し、年3度のペースで仲裁専門雑誌に寄稿している。また、仲裁手続と訴訟手続の競合規整のあり方について、最近の欧州司法裁判所判決(ウェスト・タンカー事件判決)とブリュッセルI規則の改正を手がかりとして、仲裁地を中心とした規律の可能性と限界を示す論稿を石川正先生記念論文集において公表した。また、日台関係での司法共助の利用拡大の可能性について、台湾の若手研究者と共同研究を実施し、その成果を、国際訴訟法学会誌International Journal of Procedural Law誌に英文で寄稿した。また、日本における外国判決の承認・執行問題全般を扱う論稿を実務民訴講座に寄稿した。判例研究としては、不法行為準拠法決定における当事者自治原則採用の可能性を認めた東京地裁平成21年9月10日判決を取り上げ、肯定的見地から評釈を公表した。さらに、国際商取引学会において、競争制限法の域外適用に関する報告について、国際私法的見地からコメントを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年度は、2013年12月、2014年1月の2度にわたり、気胸の悪化による入院・手術を余儀なくされたため、予定していた海外での調査ができず、判例批評1本の原稿を完成できなかったという問題はあったが、それを除けば、上記の通り、ほぼ順調に研究計画を進めることができたと評価しうる。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度は、ウィーンで開催される国際比較法学会での国別報告のために、英文論稿「Proof of and Information about Foreign Law in Japan」を執筆する予定であるほか、共著による研究書『現代社会における民事手続法の機能』のために外国法の内容不明に関する論稿を、また、「仲裁とADR」誌のために仲裁合意の分離独立性に関する論稿を寄稿するべく準備している。これらに加えて、管轄合意と仲裁合意の有効性判断の問題についても検討したいと考えているが、2014年4月から、所属大学の法科大学院長職を拝命した関係上、遺憾ながら、研究のペースが一定程度落ちることも覚悟している。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年12月、2014年1月の2度にわたり、気胸が悪化し、神戸日赤病院における入院・手術を余儀なくされ、その結果、予定していた海外での研究集会への参加をキャンセルした。 老朽化したPCの入れ替え、文献資料の整備、海外調査等に研究費を使用する予定である。
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