本研究は、価格設定を手段として競争者等を排除する各種行為類型のうち、プライス・スクイーズ、占有率リベート、包括料金設定を主な対象として、略奪的価格設定・不当廉売の違法性判断基準や規制理論の射程を明確にし、要件論の精緻化を行った。すなわち、これらの類型はいずれも、略奪型とライバルコスト引き上げ型(RRC)の両方の側面を持つ複合的な類型であるため、略奪型の説明理論が全面的な違法性判断基準たり得ると考えるべきではなく、人為性・排除効果の説明において、行為の側面ごとに、適宜RRC型と組み合わせて説明ツールとして用いるのが適切であるとの結論に至った。
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