研究課題/領域番号 |
25380071
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水町 勇一郎 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20239255)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 労働法 / 労働紛争解決 / フランス法 |
研究実績の概要 |
平成28年度には、平成27年度までの研究を総括しつつ、日本の今後の制度設計への視点と具体的な示唆について考察し、本研究の成果をとりまとめた。その過程において、フランス国務院のAntoine Lyon-Caen氏等のレヴューを受ける予定であったが、日本政府の「働き方改革実現会議」の議員として「働き方改革実行計画」のとりまとめに参画し、海外出張の時間をとることが困難となったため、本研究のレヴューの作業は平成29年度に繰り下げることにした。 研究の成果は、Yuichiro MIZUMACHI, " Vers un nouveau modele de droit du travai ? La reflexion theorique et comparative "とのフランス語論文に盛り込み、Melanges Antoine LYON-CAEN(最新の労働法理論に関する論文を集めた書籍。近刊予定)に投稿している。水町勇一郎『労働法』(有斐閣)等の日本語書籍のなかにも、その成果を盛り込む予定である。さらには、日本で現在進行している「働き方改革」など労働法制改革のなかにもその視点を反映させていく。 本研究の成果は、労働関係をめぐる問題が複雑化するなかで、当事者間の自主的な問題解決や裁判所による公権的な紛争解決だけでは十分な対応ができないことが諸外国でも共通の認識となっており、これを克服するために、専門性を有する行政委員会等による柔軟で迅速な紛争解決が効果的なことが政策の方向性として明らかになったことである。日本の「働き方改革」でも裁判による紛争解決(司法救済)のみならず行政ADR(行政による紛争解決援助)の重要性が示されている。今後は、本研究を基盤として、専門性を生かした行政委員会等による紛争解決の具体的な内容と方向性を明らかにしていくことが政策的課題となるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果のとりまとめと公表準備は進んでいるが、海外の第一線の研究者によるレヴューを行うための出張の時間をとることができなかった。平成29年度に実施したい。
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今後の研究の推進方策 |
Antoine LYON-CAEN氏など世界の第一線の労働法研究者と本研究のレヴューのための議論をし、最終的な公表論文に反映させる作業を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
政府の「働き方改革実現会議」(議長:安倍晋三内閣総理大臣)の議員となり、平成29年3月にとりまとめられた「働き方改革実行計画」等の策定に参画したため、本研究のレヴューを受けるための海外出張に行く時間がとれなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度中の可能な限り早い段階でフランスに出張し、Antoine LYON-CAEN氏等のレヴューを受けて、それを踏まえた研究の成果を平成29年度中に公表する予定である。
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