標準規格を利用するに当たって避けられない特許は「必須特許」と称されるが、技術発展の蓄積や技術のネットワーク化の拡大により、一つの標準規格に数百件から数千件の必須特許が存在するケースもある。この場合、規格を策定していた者が、保有している特許権の存在を明らかにしないで規格の確立後になって権利(差止請求権)を行使するという、いわゆる「ホールドアップ問題」が指摘されている。本研究は、かかる問題を背景に、標準規格必須特許の権利行使の制限がいかなる場合に許容されるべきかについて、競争法・政策の観点から、援用可能な法理を探求しようとした。
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