研究課題/領域番号 |
25380079
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
原田 啓一郎 駒澤大学, 法学部, 教授 (40348892)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 地域包括ケア / 在宅医療 |
研究概要 |
本研究は、地域包括ケアシステムの要となる在宅医療の実施体制とその内容規制の法的分析を通じて、在宅医療の法的特質とその問題点を明らかにし、医療・看護ニーズの高い要介護者を地域で支えるintegrated care(統合ケア)体制の構築に向けた基本的視座を得ようとするものである。 3年計画の初年度である平成25年度は、予備的考察として、1)わが国の地域包括ケアシステムの全体像の把握、2)在宅医療における「居宅」概念の整理、3)統合ケアをめぐる国際的動向の把握に努めた。1)については、主として高齢者を対象とする地域ケアに関するこれまでの政策上の取り組みや理論的動向を確認しながら、今日の地域包括ケアシステムの全体像の把握を試みた。また、生活困窮者の包括的支援システムに関する課題について、自治体相談窓口への聞き取り調査を行った。2)については、在宅と病院・施設の間には、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど多様な形態の「居宅」が連続的に存在することから、多様な「居宅」につき、根拠法令、対象者、利用手続き、設置主体、利用料、サービス内容、医療サービスとの連携といった諸点につき分析を行い、「居宅」概念と集住形態における在宅医療の提供のあり方を整理した。この考察については、現在論文の公刊作業を進めているところである。3)については、基本的な研究動向・政策議論が比較的未整理である統合ケアに関する基本文献・論文の収集・検討を行った。2000年から発行されている電子ジャーナルInternational Journal of Integrated Care掲載の諸論文の検討を通じて、わが国の地域包括ケア概念と諸外国のintegrated care概念の異同が確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度となる平成25年度の研究目標は、わが国の地域包括ケアシステムの全体像の分析と統合ケアをめぐる国際的動向の把握を行うことであった。本年度は、これらの諸点につき、文献収集・調査と一定の実情把握を行うことができ、次年度以降の比較法的分析の足がかりとなる知見を獲得できた。本年度の考察成果について、論文の公刊作業が進んでいることをあわせ考えると、本年度の研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、多様化する在宅医療の場における医療安全管理体制の比較法的分析を主としてフランス法を中心に行うことを予定している。また、平成25年度に引き続き、地域包括ケアシステムをめぐる各地域の動向に関する文献調査及び聞き取り調査を進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費について次年度使用額が生じた理由として、地域包括ケアシステムの全体像の把握について、都心部の動向の把握を優先したため、聞き取り調査の訪問先が関東圏内にとどまり、調査旅費の支出が少なくなったことが挙げられる。 次年度以降も引き続き、都心部以外の各地域の地域包括ケアシステムをめぐる動向に関する聞き取り調査を進めることから、当該調査にかかる研究費として次年度使用額を活用する。
|