本研究は、地域における統合ケア体制の構築に向けた基礎理論の解明のための基礎研究として、主として比較法的考察の手法を用いながら、在宅医療の実施体制とその内容規制の法的分析及び理論的検討を行うものである。本研究の最終年度である平成27年度は、地方における地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組み実態を把握するため、地方自治体において、少子高齢化、人口減少に対応した地域コミュニティづくりと地域医療・介護体制に関するヒアリング調査を実施した。また、フランスで資料収集等現地調査を行い、フランスにおける在宅介護・在宅看護に関する法的枠組みを中心に検討を行った。 次いで、これまでの研究で獲得された日本法及び外国法に関する研究成果を元に、本研究課題にかかる研究成果の取りまとめ作業を行った。取りまとめ作業では、比較法的な観点から、在宅における医療・看護・介護の提供に関する法規制の構造を分析し、医療・看護ニーズの高い要介護者を地域で支える統合ケア体制の構築に向けた基本的視座の考察を行うとともに、日本法の現状分析・検討を行った。取りまとめ作業を通じて、高齢者の地域居住の実現のための地域包括ケアシステムの構築に向けて、高齢者の住まいとケアに関する総合的かつ多角的な検討の必要性を認識することができ、次年度以降の研究の方向性が明らかになった。 この他、本研究課題に関連する課題について、日本社会保障法学会第68回秋季大会にて個別報告を行った。
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