本研究は、欧州の福祉国家改革にみられる労働市場と社会保障制度を密着させた「アクティベーション政策」が、福祉国家改革に与えた影響について、オランダの事例を通して考察している。同国で1990年代に導入されたアクティベーション政策は、かつての給付中心の社会保障制度とは異なり、労働市場への参加こそが、貧困や社会的排除の問題を解決する、という見方を根底にすえている。しかし他方で、不安定な地位におかれた労働者が増加し、「働く貧困層」が拡大している現実もある。そこで本研究では、この新自由主義的要素を含んだオランダの福祉国家改革に焦点を当てて考察を加え、さらに日本の政策への示唆を見出すことを目的とする。
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