本研究は、非正規雇用の均等待遇規制と間接差別規制(特に間接性差別)の意義および特色について、両規制が重なる箇所に着目して問い直すものである。具体的には、判例研究および理論研究によって、間接差別法理が、正規・非正規の均等待遇の領域を規制対象としていることの意味を明らかにし、そのうえで非正規雇用の均等待遇規制と間接差別規制の法的な位置づけを再度問い直した。 研究の結果、差別禁止規制の問題と非正規雇用の問題の結節点として、非正規雇用に対する間接性差別規制を論じることは難しく、EUにおける間接性差別法理を通じた非正規 問題への規制は、当時の特殊な事情を背景とした一時的な現象とみることができる。
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