研究課題/領域番号 |
25380084
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
山本 雅昭 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30380124)
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研究分担者 |
上田 純子 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40267894)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 刑事政策 / 企業犯罪 / 経済刑法 / 会社法 / 比較法 / 市場 / 制裁 |
研究実績の概要 |
研究代表者において、本研究課題の観点から先進的な制度的取組みを行っているとみられるオーストラリアにて昨年度、実施した現地調査の結果を踏まえ、その際、収集した文献資料の分析を交えて論稿を取りまとめ所属研究機関の紀要において発表した。また、本研究に係る成果の一部について、アジア犯罪学会第6回年次大会において発表したほか、台湾の玄奘大学において開催された経済犯罪をテーマとする国際シンポジウムにおいて基調講演を行うとともに、台湾の中央警察大学法学部において講演を行った。 さらに、イギリスにおける法人故殺法の運用について現地調査を実施し、我が国内において入手困難な文献の収集等に努めたところ、その特徴と問題点を一定程度、把握するに至ったほか、ドイツにおいても経済犯罪に関心のある研究者集団において法人の刑事責任問題が活発に議論されるようになった状況を受け現地調査に及んだ。特に後者については、さらに文献調査を積み重ね、再度の現地調査によって補充する必要があるものの、とくに経済事犯に関し法人構成員の事実行為から離れて法人に追及されるべき刑事責任の問題について発表するべく論稿のとりまとめに着手した。 一方、研究分担者においては、平成26年度は、過年度中に収集した基礎資料や諸情報の分析を行い、本研究課題を会社法の観点から捉える場合の諸論点に関し基礎的考察を深めた。引き続き、イギリスおよびドイツへの渡航を通じて、現地研究者との情報交換を行い、また、貴重資料の収集と整理、および、それらの読解を通じて諸論点に関する考察を深めつつあるところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者において、初年度の文献調査に関し必ずしも当初計画のとおり推進できなかったことを受け、積み残した文献調査を急ぐとともに、これによって蓄積されるに至った中間成果を発表する機会を得たことによる。惜しむらくは、研究分担者との間において各専門領域の観点からする研究成果の総合ないし調整について十分な協議を遂げられなかったが、研究分担者からも本年度の研究が順調に進捗した旨の報告がなされており、研究成果総合の前提が整いつつあることが実感されるところである。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者において、本研究課題の最終年度を迎えるに当たり、昨年度末のドイツにおける現地調査によって得られた同国の法状況について文献調査を集中的に実施して我が国における理論状況と対比させるとともに、イギリスの法状況をも視野に入れた中間成果を発表して我が国の学会に対して問題提起を行い、また、再度、ドイツ及びイギリスの研究機関を訪問して補充的な現地調査を敢行する。 また、研究分担者においても、引き続きイギリスおよびドイツへの渡航を行い、現地調査の成果を踏まえた、より精緻な比較法研究を心がけるとともに、内外に向け、口頭報告や研究ノート等の形で中間成果を公表し、そのフィードバックを得る。同時に、本研究課題の最終年度に向け、中間成果のまとめと最終的な成果物の公表準備を入念に行う。 本年度は、研究代表者と研究分担者との調整を緊密にして、昨年度までの個別の成果の総合のうえに、鋭意、最終的成果のとりまとめと発表に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者において、昨年度末にイギリスおよびドイツへ渡航した際、航空運賃が予想を下回る水準であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究分担者において、今年度もイギリスおよびドイツへの渡航を予定しているが、その際の旅費に充当することとしたい。
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