本研究は、米国におけるクライム・ラボ改革をめぐる議論を参考としながら、裁判員制度のもとでの科学的証拠の用い方に関して、事実認定の合理化・科学化に資するような鑑定書の作成プロセスの適正化、鑑定人の適格性についての手続的審査のあり方、公判での顕出方法と吟味の仕方、事後的検証の保障等について検討しなおすことを目的としている。 今年度は、研究の最終年度として、昨年度までに収集した資料の検討と分析を進め、成果の一部として、鑑定過程の完全な記録化と証拠開示の部分に関する論文を執筆し、また、鑑定書の公判廷での用い方、専門家証言の吟味の仕方、事実認定の適正化のために弁護側に有利な専門家証言をどう確保するか等の問題に関し、証人審問権とも照らし合わせながら検討した論文を執筆し、公表することができた。 また、年度末になってしまったが、米国において現地調査と聞き取り調査を実施し、アメリカでの調書、鑑定書の用い方やイノセントプロジェクト以降のDNA鑑定の用い方の変化等についても理解を深めることができた。この成果についても、研究年度は超えてしまうが、今後論文の形で公表するつもりである。
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