刑事手続において,供述証拠を獲得するために用いる働きかけに対して及ぼすべき法的規律,および得られた供述証拠の価値を適正に評価するために妥当すべき仕組みのあり方を明らかにした。とりわけ,高い必要性が認められながら獲得が困難である,共犯者等による供述を獲得するために,捜査・訴追機関から,協力を条件に訴追免除等の恩典を付与する手法について,従来,そのような「取引的」手法を用いること自体や,そうした手法により得られる供述には信用性に疑いが生じることが問題とされてきたが,そうした供述の利用可能性を担保しうる,解釈論のみならず立法論においても参照可能な検討の枠組みを明らかにすることができた。
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