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2014 年度 実施状況報告書

オランダにおける末期医療をめぐる刑事法的諸問題

研究課題

研究課題/領域番号 25380087
研究機関香川大学

研究代表者

平野 美紀  香川大学, 法学部, 教授 (70432771)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードオランダ / 終末期医療 / 刑事法 / 安楽死 / 認知症 / 精神科医療
研究実績の概要

今年度はRegional Toetsingscommissies Euthanasie(オランダ安楽死審査委員会)の公刊されている中で最も新しい、2011年から2013年までの3年分の報告書を読み進めた。オランダで刑法的に認められており報告が医師に義務づけられている安楽死件数は、2011年3,695件、2012年4,188件、2013年4,829件、と、3年間で1.8倍にも増加している。昨年度から着目している精神科疾患患者への安楽死行為は、2011年13件、2012年12件で行われており、さらに2013年には42件、これまでの3倍にあたる統計値が示されている。そのうち、特に認知症患者については2012年の42件から2013年には97件と2倍以上にもなっている。我が国における認知症患者の増加も著しく、その治療同意については、今後検討が必要だと思われるので、特にここについて着目した。
オランダにおいては、2012年以降は特に、SLK(Stichting Levenseindekliniek)とよばれる、いわば終末期医療専門クリニックが開始されて、オランダでの議論が進み、実質的なプロセスが確保が進んでことによるものであることが判明した。この仕組みについてはあまり情報が得られなかったため、来年度オランダにおいて調査を行うべく、オランダのSLKのGerty Casteelenis医師に協力を仰ぎ、快諾してもらった。一方で、オランダでの精神科医療における治療同意は、日本とは大きく異なり、広く認められていることがそもそもの背景にあり、その背景にあるオランダの一般精神医療システムについては、日本に来日中の複数の精神科医と、数回にわたりインタビューを実施したり共に日本の精神科医療施設を訪問し、日本とオランダの相違について議論を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一般的な精神科医療の仕組みについては少しずつ理解を深められているが、昨年、オランダでは強制治療についての法案が策定されており、その後の動きについては、まだフォローしきれていない。また、実際のSLKの仕組みについても、情報が不足しており、そこを来年度研究の中心に据えたい。

今後の研究の推進方策

最終年度となるため、上記オランダ安楽死審査委員会の報告書の最新版を入手したうえで、オランダ現地において、特に精神科患者への強制的な治療、SLKの仕組みについて、インタビュー等で深く調査していく。また、オランダにおける強制入院法、強制治療法(案)の翻訳にも着手していく中で、法的な仕組みについても研究を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

ちょうどの金額で使い切ることが難しく、少額とはいえ残額が出てしまった。

次年度使用額の使用計画

消耗品を購入する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 法的視座からみたオランダの終末期医療:安楽死とその周辺事情2014

    • 著者名/発表者名
      平野美紀
    • 学会等名
      ライデン大学東京事務所
    • 発表場所
      東京ライデン大学東京事務所
    • 年月日
      2014-11-24
  • [学会発表] オランダの一般/司法精神科医療2014

    • 著者名/発表者名
      平野美紀
    • 学会等名
      精神医療と法研究会
    • 発表場所
      東京成城大学
    • 年月日
      2014-07-27
  • [図書] 法学入門2014

    • 著者名/発表者名
      平野美紀(8章刑事法担当<森長秀編>)
    • 総ページ数
      266(149-177)
    • 出版者
      光文館

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公開日: 2016-05-27  

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