本研究では、次のことが明らかとなった。①人々の主たる刑罰動機は、規範の伝達、応報感情の充足、懲らしめ、国家権力の顕示であった。②人々の意識の中で刑事政策は、「人権の尊重・制約」と「応報・予防」の2つの軸で認識されていた。③刑罰動機として規範の伝達を重視する者、懲らしめを重視する者ほど、監視・重罰化を目指した政策を支持していた。 本研究は、民意(人々の認識・期待)と刑事政策のダイナミックな関係を考察するものであり、刑事司法が変革の時代を迎えている現在の日本においてその意義は小さくないものと思われる。
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