研究概要 |
1 外国の司法取引制度の調査研究として、アメリカ合衆国について、これまでの制度研究では、専ら「連邦法」が中心であったことから、平成25年度調査では、より日常的な刑事手続における司法取引制度を研究するために、主にニューヨーク州の調査を行った。平成25年9月4日および5日の2日間にわたって、ニューヨーク郡地方検察庁公判副部長ニティン・サブーア検事(Nitin Savur, Deputy Chief of Trial Divisin, New York County District Atorney’s Office)に対するインタビュー調査を実施した。 2 ニューヨーク郡という一地方の刑事手続とはいえ、毎年9万件~10万件の犯罪が処理されており(重罪12000件、軽罪77000件)―要するにニューヨーク郡だけで日本全国の1年分の事件が処理されている―、検事も総勢530人という大きな組織であった。したがって、一地方の刑事手続とはいえ、質的にも量的にも、アメリカ法研究にとって重要な研究対象であった。 3 サブーア検事からは、ニューヨーク郡の司法取引が重要な点で連邦法と異なること、実体法が数段階に細分されていることから縮減訴因の提示が可能となっていることなどの重要な指摘があった。 4 ドイツ法については、2009年から施行された合意手続の合憲性に関する連邦憲法裁判所の2013年3月19日判決を紹介検討した論文を翻訳するとともに(ヘニング・ローゼナウ/田口守一訳「ドイツにおける答弁取引(いわゆる申合せ)と憲法」比較法学47巻3号(2014年3月)139頁以下)、合意手続の実態調査のための準備として、2009年以降の実態を調査したKarsten Altenhain u.a., Die Praxis der Absprachen in Strafverfahren, 2013による実態調査報告書の研究を進めた。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究は3か年計画のところ、初年度である平成25年度において、当初の計画予算であった800,000円に不足が生じたので、前倒し支払い分として400,000円を使用したので、平成25年度使用額が1,200,000円となった。なお、概算で前倒し請求した400,000円のうち155円が誤差として余ったので、次年度に繰り越して使用する予定である。 本研究は3か年計画であるので、平成26年度には、ドイツ調査を企画しており、その調査研究費を中核として直接経費800,000円及び間接経費240,000円の合計1,040,000円を使用する計画である。 直接経費800,000円の明細としては、消耗品200,155円、国内旅費100,000円、外国旅費400,000円、人件費・謝金100,000円の計画である。
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