研究課題/領域番号 |
25380091
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田口 守一 早稲田大学, 法学学術院, 名誉教授 (80097592)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 司法取引 / 合意制度 / 協議制度 / 刑事司法改革 / 法制審議会 / ドイツ刑事訴訟法 / インタビュー調査 / 有罪答弁 |
研究実績の概要 |
1 外国の司法取引制度の調査研究として、ドイツの司法取引制度の実体調査をおこなうべく準備を進めてきた。ところが、日本における刑事司法制度改革の立法論が予想を超えるスピードで進行し、法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会は、平成26年7月に「新たな刑事司法制度の構築についての調査審議の結果【案】」を採択し、そこでは捜査・公判協力型協議・合意制度の導入が決定された。この刑事司法制度改革案は、平成26年9月に法務大臣に答申され、平成27年3月には閣議決定がなされ、「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」として第189回国会に提出された。 2 平成26年度は、この法制審議会の動向を追跡調査した。その結果、日本の協議・合意制度は、欧米の司法取引制度とは似て非なる制度であるが、今後の課題として、犯罪事実の解明による刑の減軽制度につき「引き続き検討を行う」とされている。そこで、新たな協議・合意制度の解釈運用のためにも、また、今後の検討のためにも、司法取引に関する研究を今後も進める必要があると考えた。 3 そこで、ドイツ法のインタビュー調査を、平成27年度に実施することとし、日本の協議・合意制度を前提とするとともに、ドイツ法の合意制度の実態調査の報告書(Karsten Altenhain u.a., Die Praxis der Absprachen in Strafverfahren, 2013)を参考にして質問票を作成し、平成27年5月6日にフライブルグ地方検察庁においてクラウス・ホッフマン(Klaus Hoffmann)検事と、5月13日にアウグスブルグ地方裁判所においてヴォルフガング・ナターレ(Wolfgang Natale)裁判長と、5月14日にはミュンヘンのヴェルナー・ライトナー(Werner Leitner)弁護士とインタビュー調査を実施することとし、その準備を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドイツ法の調査が1年遅れたが、日本における刑事司法制度改革がまさに平成26年度に重大な段階に至った(刑事訴訟法改正案の国会提出)ので、その日本の動向を踏まえた外国法調査を行うことには合理的理由があるので、ドイツ法調査を平成27年度に実施することとし、平成26年度は日本法の動向を追跡して、それをドイツ法調査の前提としたことは適切であったと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の研究期間は、平成27年度で終了するが、日本の刑事司法制度改革は決して完了したわけではなく、今後さらに時代の動きに合わせた改革が必要であると考えるので、引き続いて外国法の調査研究を含めた司法取引制度の研究を進め、日本における当事者主義刑事訴訟法の展開に取り組んでいきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は3か年計画であるところ、平成26年度にはドイツ調査を実施する予定であったが、研究対象である司法取引制度に関する日本国内の立法活動が急展開を示したため、国内の動向把握を優先させてドイツ調査を平成27年度に繰り越すこととしたために、ドイツ調査に関する予算約400,000円が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には、ドイツ調査を実施するので、その調査研究費を中核として直接経費845,226円及び間接経費120,000円の合計965,226円を使用する計画である。 直接経費845,226円の明細としては、消耗品289,226円、外国旅費400,000円、人件費・謝金156,000円の計画である。
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