研究実績の概要 |
1 平成27年度には、ドイツ調査として、①2015年5月6日、ドイツ・フライブルグにおいて、検察官のホフマン氏(Staatsanwalt Klaus Hoffmann, Staataanwaltschaft Freiburg i. Brsg.)とのインタビュー調査を実施し、合意制度の運用における法曹倫理の重要性や合意手続の透明性の重要性に関する知見を得た。②2015年5月13日、アウグスブルグにおいて、裁判官のナターレ氏(Vorsitzender Richter Wolfgang Natale, Landgericht Augsburg)とのインタビュー調査を実施し、合意実務の実際の文書の提供を受けることができた。③2015年5月14日、アウグスブルグの弁護士(Rechtsanwalt, Prof. Dr. Werner Leitner)とのインタビュー調査を実施し、文献資料の提供を受けるなどした。 2 わが国の刑事訴訟法改正案における協議・合意制度では、対象犯罪として財政経済関係犯罪が掲げられており、とくに企業犯罪に関する司法取引の重要性は大きい。この点につき、田口守一=原田和往=松田正照「企業コンプライアンスプと制裁手続をめぐる諸問題」甲斐克則=田口守一編著『刑事コンプライアンスプの国際動向』(信山社2015年)21頁以下を公表した。同時に、2015年9月26日、ドイツ・ケルンで開催された国際シンポジウムにおいて、「日本における企業犯罪とコンプライアンス・プログラム」と題して講演した(Morikazu Taguchi, Unternehmenskriminalitaet und Compliance-Programme in Japan)。刑事訴訟法改正案が国会で成立すれば、その重要な内容を海外発信したことになる。 3 以上の調査研究を踏まえて、国会上程中の刑事訴訟法改正案における協議・合意制度に関する意見を公表した(田口守一「協議・合意手続の透明性」刑事法ジャーナル47号3頁(2016年2月)。
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