平成28年5月24日に成立した改正刑事訴訟法には、他人の刑事事件について被疑者・被告人が一定の協力をすることに対して、検察官が一定の利益を与えることに合意するという一種の司法取引の制度が含まれている。この新たな制度が日本に導入される事態に備えて、一方で、司法取引が行われている米国ニューヨーク州の手続およびドイツで導入された合意制度の実際を調査してきた。この比較法的研究は新たな合意制度にとって有益な資料となろう。他方で、司法取引と当事者主義刑事訴訟との理論的整合性という理論研究も必要であり、この点を意識しつつ研究を進めた。
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