研究概要 |
初年度として、公判前整理手続に関するわが国の議論、判例について情報を収集した。具体的には、公判前整理手続の運用に関する状況を把握するとともに、その課題について明らかにしようとつとめた。その結果として、公判前整理手続の運用にも限界があること、すなわち、同手続には適正な手続を保障する必要があるとの考え方を再検証することができた。合わせてアメリカ刑事司法におけるMotions in Limineなどの公判前手続についての動向を、文献に基づいて、研究することができた。また、具体例として、State v. Henderson, 27 A.3d 872 (N.J., 2011)、State v. Chen, 27 A.3d 930 (N.J., 2011)、Marion Perry v. New Hampshire, 132 S. Ct. 716 (2012)といった、目撃証言の許容性を判断する公判前手続に関する議論を見ることができた。結果として、わが国ではまずは手続ありきの議論が目立つが、許容性に関する議論を見る限り、いかに許容性を判断していくのか、その証拠法のあり方についての議論が重要であり、アメリカではそのような法理を前提に手続が形成されていったのではないかと考えるに至った。また、わが国の集中審理に関する議論形成について、現行刑事訴訟法の制定以降の議論に関する調査を進めつつある。さらに、証拠の関連性に関するわが国の議論の形成について調査を進めている。
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