研究課題/領域番号 |
25380093
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
池田 清治 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (20212772)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 贈与 / 撤回 / 履行利益 / 信頼利益 |
研究実績の概要 |
契約の拘束力の根拠を「後悔する権利」との関係で解明しようとする本研究プロジェクトにあっては、平成26年度は、平成25年度に引き続き、民法典に散在する関連諸制度に対する考察を深めた。その(副)産物が、池田清治ほか『事例で学ぶ民法演習』(成文堂、2014年)と池田清治『基本事例で考える民法演習』(日本評論社、2014年)である。 また、2014年11月に台湾(台北)において開催された国際シンポジウム(第4回東アジア民事法学学術シンポジウム)において、「日本における契約締結上の過失理論の生成、展開、そして、課題」というテーマで報告を行った。その準備過程において、「履行利益と信頼利益の機能分担」という着眼点が一層明確となり、本研究プロジェクトにおいて重要な視角となるであろうとの感触を得るに至っている(なお、この報告を含め、上記シンポジウムにおける諸報告は、台湾で書籍として公刊される予定である)。 さらに、比較法的検討については、平成25年度に引き続き、ドイツの贈与法に関する考察を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、民法典に散在する「後悔する権利」に関連する諸制度を取り上げ、各制度について考察を進める、という点では、上記のとおり、順調に推移している。 また、「履行利益と信頼利益」という着眼点は、「後悔する権利」及び後悔した場合のサンクションについて重要な示唆を与えるものであり、研究の一層の進展が期待できる。 さらに、比較法的検討についても、「契約の性質決定」という分析視角が具体化しつつある。 本研究プロジェクトは、かなり広汎な性質を有するものであり、そのようななか、現在の進捗状況は、おおむね順調と評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
民法典に散在する「後悔する権利」に関連する諸制度について、さらに検討を深めるのが第1の課題である。上記のとおり、すでに民法典の各所をかなり試掘しているが、債権法改正も具体化するなか、これをも含め、本格的に検討する必要がある。 また、比較法的検討をさらに推進することも平成27年度の課題といえる。 平成27年度は、本研究プロジェクトの最終年度であり、成果の方向性をまとめ上げていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額(B-A)である「300円」は、端数として生じたものである。
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次年度使用額の使用計画 |
上記の「300円」は、平成27年度の本研究プロジェクトの費用として使用する予定である。
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