本研究は、債権回収の局面,とりわけ担保取引に焦点を当てて、実体法と手続法の交錯という観点から立体的に捉えて、アメリカ・イギリス・フランス・ドイツを対象国とする比較法的検討を行った。その結果現在国際的な法統一のモデルとされているアメリカのUCC第九編における担保取引は極めて特異な法制であり、実体法の基本構造や手続法的環境とりわけ倒産局面におけるそれに関する相違を度外視して、制度の移植をすることは実際的でなく、債権回収上の紛争の同一の場面に多様な法学的なアプローチがあることを承認すべきであるという知見が得られた。
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