研究課題/領域番号 |
25380096
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
菱田 雄郷 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90292812)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 民事訴訟法 / 既判力 |
研究実績の概要 |
本研究は、口頭弁論終結後の承継人に対する既判力の作用について検討しようとするものであるが、本年度は、これに関係する周辺の制度について研究を行うとともに、業績をいくつか公表した。第1は、山本和彦ほか編『新基本法コンメンタール民事保全法』(日本評論社、2014年)242-259頁であり、占有移転禁止の仮処分について、従来の議論を整理し、一定の私見を加えた。第2は、山本克己ほか編『新基本法コンメンタール破産法』(日本評論社、2014年)382-407頁であり、否認権の行使の効果等について執筆する過程で、転得者に対する、受益者を当事者とする否認訴訟の判決の既判力の作用の仕方等を整理した。いずれも、本研究が直接対象とする問題に密接にかかわるものであり、今後の研究の基礎となるものである。 その他に、執行手続における配当異議訴訟を研究したものとして、「配当異議訴訟の競合」石川明=三木浩一編『民事手続法の現代的機能』(信山社、2014年)295-331頁が、再建型倒産手続と会社法の交錯を検討したものとして、「再建型倒産手続進行中の機関運営」神作裕之ほか編『会社裁判にかかる理論の到達点』(商事法務、2014年)571-605頁が、対世効を伴う判決の効力を受ける第三者による再審の訴えについて検討したものとして、「第三者による再審の訴え―訴え提起に係る手続的規制を中心として」伊藤眞先生古稀祝賀論文集『民事手続の現代的使命』(有斐閣、2015年)531-552頁がある。判決手続、執行手続、倒産手続に関わる基礎的な研究であり、間接的には、本研究の今後の進行において役立つことが期待される。、
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、口頭弁論終結後の承継人に対する既判力の拡張について、比較法的考察による検討を加えることを目的とするものであるが、直接の研究対象の周辺の制度まで視野に入れて考察することに力を入れることを予定している。この観点から見ると、民事保全法、民事執行法、倒産法等の関連諸分野について幅広く検討を加え、業績として公表することができている現状は、概ね順調と評価してよいと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、従前の研究方法を推し進めることになる。より具体的にいえば、視野の広い研究を続けつつも、なお十分に業績として公表できていない比較法的な考察に注力する予定である。これにより、問題を様々な角度から検討することが可能となり、本研究の深みはより増すものと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
書籍を中心とする必要かつ年度内に入手可能な物品はすでに購入できており、また、残額も少額であることから、次年度に刊行される書籍の購入に回すのが相当であると判断したことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
主として書籍(とりわけ外国語の書籍)の購入に充てることを計画している。
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