本研究はサービス契約に対する法規定を一般理論との関係で検証した。本研究の注目すべき成果は次の通りである。第一に、任意法規としての中途解除権について、①物や労働力の有効活用を促進するという観点から根拠づける発想と、②自己利益についての自己コントロールを確保するという発想からの中途解除権を正当化する観点を導出した。第二に、請負契約の任意解除の際の損害賠償を素材に、利益控除・労働力転用と損害軽減の考え方との関係について検討し、役務提供契約の場合、代替取引が可能であることが原則とはならないことなどを指摘した。第三に、消費者契約規制立法となった場合における、実効性・費用便益重視の傾向を指摘した。
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