1研究実績 平成28年度(最終年度)の研究実績は、(1)地域における高齢者財産管理の国際的な課題の総括と、(2)市民後見人養成のための地域モデル策定と実現の2点である。 (1)地域における高齢者財産管理の国際的な課題の総括:2016年9月ベルリンで開催された「第4回成年後見法世界会議」に参加、各国の制度比較、実態調査のまとめを行った。一部の成果を公表した。 (2)市民後見人養成のための地域モデル策定と実現: 「やまなし市民後見人養成講座(第3期)」を6回開講した。これらの実績、研究が甲府市による市民後見人養成講座の実現に繋がり、自治体との連携成果となった。
2研究成果 成年後見法世界会議と日独シンポジウム(ベルリン日独センター)における議論は、現在、わが国において進められている成年後見制度利用促進基本計画の方向性と同一のものであり、国際比較による理論と実務の検証ができた。特に、後見制度の財産管理面における監督機能のぜい弱性がわが国でも問題となっている。世界会議での議論の中で、高齢者への経済的な搾取・虐待(Financial elder abuse)とその対策が議論され、その議論についてわが国への示唆を紹介できた(実践成年後見No.68 100頁(2017年))。また、市民後見人の育成プログラムの山梨における実践は、自治体(甲府市や山梨県)において採用され、地域モデルの調査研究の成果が実際に社会に還元されたものとして評価できる。
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