研究課題/領域番号 |
25380111
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
中川 敏宏 専修大学, 法学部, 准教授 (50364237)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 韓国民法 / 法の継受 / 固有法 / 留置権 / 不動産留置権 / 法定地上権 |
研究概要 |
本年度は,日本の固有法が韓国へ継受され,韓国において独自の発展を示すものを取り上げて,その発展過程を考察する作業に取り組んだ。これは,韓国民法の内容・本質を理解するとともに,一般に日本固有といわれている制度・理論の意義を再認識することに狙いがある。韓国民法と日本民法の,類似しつつも異なる側面に焦点を当てた考察となる。この考察の個別的な対象としたのが,韓国法における「慣習上の法定地上権」の理論と,近時の不動産留置権の廃止論である。いずれも,現在韓国で進行中の民法改正作業の対象でもある。 前者に関する考察は,土地建物別個独立の原則を採る韓国法と日本法とが共通にして抱える問題を明らかにすることをその狙いとするものであるが,同原則を採ることから生じる法定地上権問題のあり方が日韓で異なり,とくに韓国法では,広範な射程を有する慣習上の法定地上権法理が確立し,またその法理の問題点が指摘されており,日韓比較財産法の興味深い考察対象を提供している。こちらについては,研究会での報告を行い(6月「韓・朝鮮半島と法」研究会,11月法の循環研究会),次年度での論稿公刊に向けた準備作業をおこなった。 後者に関する考察についていえば,関連する民法改正法案が韓国国会に提出され(現時点で審議未了),韓国民法改正の最新情報を調査することとなった。韓国での資料収集やヒアリングを通じて,情報収集に努め,それに対する考察を踏まえて,本年2月に論稿を公刊することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究成果について,複数回の研究会報告をおこない,その一部を論稿として公表できた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,本年度の考察対象であった,韓国法における「慣習上の法定地上権」の理論に関する論稿を刊行するとともに,引き続き日韓における法継受の様相を考察し,あわせて母国法を含めた3国間比較を行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
韓国法の資料収集に力を入れたため,ドイツ法・フランス法の資料の収集が行えなかったため。 引き続き,韓国法の資料収集に努めるが,本年度行えなかったドイツ法の資料の収集を行う。
|