本研究は,日本法から韓国法への法の継受や影響のプロセスを個別の問題領域ごとに辿り,日韓民法比較の重要な視点を見いだすことを目的とするが,考察の対象として,土地と建物を別個独立の権利客体とする法制の下で生じる問題,および約定担保物権との衝突が近年問題視されている法定担保物権制度をめぐる問題を取り上げた。具体的には,(1)不動産上の留置権と抵当権との衝突,(2)法定地上権制度が抱える諸問題,(3)不動産上の先取特権と抵当権との衝突について考察した。これらの領域に対する考察を通じて,それらの領域における解釈論・立法論的な動向をフォローし,日本法における議論への示唆を得た。
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