研究課題/領域番号 |
25380112
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
丸山 秀平 中央大学, 法務研究科, 教授 (70055250)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 有限責任事業会社 / 商号 / パートナーシャフト会社法 / パートナーシャフト有限職業責任会社 / Limited / LLP / UG / PartG mbB |
研究実績の概要 |
平成26年度においては、本研究課題に係るドイツの小規模企業法制に関し重要な企業形態として利用されている有限責任事業会社(UG)の商号利用にとって新たな問題点を明らかにした連邦最高裁の判決を分析・検討した論文を、本研究の成果の一部として公表することができた(中央ロー・ジャーナル11巻1号3-35頁)。本論文によって、UGと従来から利用されてきた通常の有限会社(GmbH)との間の信頼性について看過することが出来ない乖離状況が生じていることを明らかにするとともに、我が国においても会社に係る商号使用について類似の問題が生ずる可能性があることを指摘することができた。 また、事業形態と商号使用との関連に関し、2013年パートナーシャフト会社法改正法によって制度化されたパートナーシャフト有限職業責任会社(PartG mbB)のパートナーシャフト登記簿への記載内容に関する裁判所決定がなされたことを見出すことができた。そこで、右決定およびパートナーシャフト有限職業責任会社に係る法状況に関する最新の情報を紹介する論文を執筆し、本研究の成果の一部として公表することができた(中央ロー・ジャーナル11巻2号3-21頁)。 本年度も昨年度に引き続き、26年9月にドイツに行き、現地(Düsseldorf)で、研究協力者(弁護士)にお会いし、本研究に関わる打合せを行うことが出来た。具体的には、ドイツにおけるUGの利用状況、とりわけ、同氏の職域である弁護士活動に関わる法規制(連邦弁護士法)に関連したGmbH・UG等の法形態の利用状況について、イギリスのLimitedやLLPとの比較に関する同氏の意見を頂き、文書化することについて同氏の承諾を得た。これに関し、次年度に、同氏の意見が公表される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題に係るドイツの小規模企業法制に関し利用されている有限責任事業会社(UG)の商号利用にとって新たな問題点を明らかにした連邦最高裁の判決について分析・検討した論文を公表することが出来た。同じく、自由業者について利用される新たな法形式であるパートナーシャフト有限職業責任会社(PartG mbB)に関する最新の法状況を紹介する論文を公表することが出来た。さらにドイツに行き、研究協力者との打合せを行い、UG・PartG mbBという新たな法形態の利用状況についてドイツ側の評価を頂くことが出来た。 以上の成果及び研究活動から、ドイツにおける事業活動・職業活動に関しUG・PartG mbBという新たな法制度の創造されてきた理由として、イギリスのLimited・LLPのドイツへの浸透に対するドイツ側の反発があることが明らかになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
26年度に行った研究協力者との打合せの結果として、ドイツにおけるUGの利用状況、とりわけ、同氏の職域である弁護士活動に関わる法規制(連邦弁護士法)に関連したGmbH・UG・PartG mbB等の法形態の利用状況について、イギリスのLimitedやLLP との比較に関する同氏の意見を頂くことができることになったので、次年度の研究では、右意見に基づいて問題点の分析をしてゆくことになる。 以上のドイツ法における法状況の分析との関係で、必要な範囲でイギリス法に関する資料を入手し、検討して行きたいと。その際重視すべきことは、ドイツにおいてUGやPartG mbB のような新たな法形式を採用したことが、いずれもイギリスの類似した法形式であるLimitedやLLPとの競争に対抗するためであったという点である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度についても、資料の収集及びドイツにおいて研究協力者との打合せが必要となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度中に、ドイツに行き、現地で資料を収集するとともに研究協力者との打合せ、情報交換を行う。
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