国連障害者権利条約12条―「法的能力」の平等―の理念に則り、判断能力の不十分な成年者を「法的主体」として積極的に位置づけるためにいかなる法制度が必要かについて、成年後見制度、事務管理法、契約法、消費者法の観点から考察を行った。分野横断的かつ比較法的考察によって、本人意思の尊重、情報支援、不公正な取引行為の規制及び救済制度の拡充といった三つの視点への配慮、すなわち、判断能力不十分者を「消費者」として再認識した上で、判断能力・交渉力の脆弱性に注意し、彼らの契約の自由を実質化する、制限行為能力制度に依らない新たな法体制の構築を提唱した。以て、成年後見制度と消費者法制の統合の必要性を提唱した。
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