研究課題/領域番号 |
25380119
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
本間 靖規 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (50133690)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 家事事件手続 / 非訟事件手続 / 人事訴訟 / 手続保障 / 職権探知主義 / 既判力 / 形成力 / 対世効 |
研究概要 |
平成25年度は、研究課題テーマについての初年度にあたるので、まず比較法的研究を行うにあたっての、外国拠点作りを行った。平成25年4月にドイツ・フライブルク大学民事訴訟法研究所を訪ね、Stürner教授、Leipold教授、Bruns教授、Althammer教授に研究テーマの説明を行い、協力の約束を取り付けた。同時に同地において、Murray(ハーバード大学)教授、Andrews(ケンブリッジ大学)教授にも協力の依頼をして快諾を得た。11月には、中国に赴き同地の陳愛武(南京師範大学)教授、王琦(海南大学)教授、王亜新(清華大学)教授に研究協力を入らして快諾を得た。平成26年3月には、トルコにおいてYildirim(イスタンブール大学)教授に研究協力の依頼をした。これらの拠点作りは、英米、ヨーロッパ、中国、イスラム圏における本テーマに関する今後の研究の推進に役立つものと思われる。 平成25年度における研究テーマに関する業績としては、後述するように、本間靖規ほか編著『基本法コンメンタール人事訴訟法・家事事件手続法』(日本評論社)を挙げることができる。その他、本研究テーマならびに手続保障に関連する個別論文として、日本語のものが3本、英語のものが1本、ドイツ語のものが2本公刊された。そのうちドイツ語の1本と英語の1本は、日本の家事事件手続法を紹介することを目的としたものである。これによって外国人の協力研究者に、日本の制度と法律の概要を知ってもらい、それぞれの國と比較しやすくしようとの意図に基づく。実際、これらは一定程度役立っている。日本からの情報の発信を外国では興味を持って受け止めてくれるので、この種の学術交換は非常に重要であることを本研究によっても再確認している次第である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究所年にあたる平成25年度は、研究の基盤作りを行い、今後の研究がスムーズに進展するための人的、資料的な準備をすることが目標であった。それと同時に研究テーマに関する趣旨や意図などを外国人研究者に理解してもらうための基礎的な研究論文の発表も行うことも目標であった。前者については、上記の通り、ドイツ、アメリカ、イギリス、中国、トルコにおける研究協力者を得ることができた点はある程度の目標到達といえる。後者についても、英語(1点)、ドイツ語(2点)の論文をドイツ、日本で公表することができた。これによりすでにフランスの研究者からの日本の近時の家事事件に関する立法の問い合わせが来ており、論文公表の成果が見られるところである。 ただ、外国で収集した資料を読みこなして、外国制度を理解する作業については、思った以上に進展を見なかったことは、課題として残った。この点については、平成26年度の研究の中でカバーする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、資料の読み込み、各国協力研究者への具体的問題を掲げたインタビュー調査を予定している。平成25年度は達成できなかったオーストリアでの調査や、できれば比較法的な対象をフランス、スペイン、イタリアなどの法圏に広げたい。また中国、イスラム教国の制度について本格的な調査に入りたいと考えている。そのために限られた予算の中での何度かの海外調査を続けることになる。また本研究の成果の一部として、家事事件手続に関する論考(共著)を有斐閣から出版する予定がある。そのさいには、それまでに行った本研究費による比較法的な成果を盛り込む予定である。さらには家事事件手続に関するテキスト『家事事件手続法』(有斐閣)の改訂版も本年刊行される予定である。その中の一部(人事訴訟手続、ハーグ条約等)を執筆している。また、昨年度に予定していた、従来の業績をまとめた手続保障に関する論文集の出版も平成26年度にはぜひ達成したい目標である。
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