研究課題/領域番号 |
25380119
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
本間 靖規 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (50133690)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 家事事件手続法 / 手続保障 / 既判力 / 家事審判 / 家事調停 / 職権探知主義 / 法的観点指摘義務 / 非訟事件 |
研究実績の概要 |
26年度は、研究テーマに関して2本の論文と1本の国際シンポジウムでの研究報告を行った。具体的には、➀「非訟裁判の既判力に関する一考察」本間靖規ほか編『民事手続法の比較法的・歴史的研究』(慈学社、2014年12月)127頁~163頁、②「調停と既判力ー家事調停を主たる対象として」石川明=三木浩一編『民事手続法の現代的機能』(信山社、2014年12月)781頁~798頁、③「家事事件手続法の理論と今後の理論的な課題」新・アジア家族法三国会議である。③の成果は平成27年度に日本加除出版から公刊されることになっており、現在3校まで終了している。なお2014年9月に国立台湾大学、2014年12月福岡大学において、「家事審判の効力」と題する研究報告を行ない、台湾、日本の研究者から有益な助言を得ることができた。その結果、私見は、日本においては少数説に止まるが、台湾においては、むしろ多数説に属することが判明した。その成果は➀の一部をなしている。 2015年3月にはドイツ・ヴュルツブルクにて家事事件実務に関する弁護士へのインタビュー調査を行い、またルクセンブルクのマックスプランクヨーロッパ民事訴訟法研究所において、家事事件に関するブリュッセル規則について、同研究所のへス所長へのインタビューならびにドイツ、トルコ、ギリシャ等の研究者との研究交流を行った。これに関する成果は、平成27年に公刊の予定である。 今のところ、研究課題に関する比較法的な研究がドイツならびにその影響を受けたドイツ民事訴訟法圏にとどまっているが、なお残っているオーストリア・スイスをフォローした上で、これをさらに他の法圏にまで伸ばしたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、家事事件手続における裁判と調停の効力について、比較法的研究を含めて研究を行った。その成果として2本の論文と国際シンポジウムでの報告ができ、後者はさらに平成27年度に公刊すべくすでに原稿を提出して校正を行うところまで来ている。家事事件手続における裁判所と当事者の役割分担というテーマを扱っているが、裁判や当事者間の合意の効力は、上記テーマとして欠かすことのできない部分をなしていると考えてのことである。その成果が一応論文という形になったことは、この1年間の取り組みとして評価できると考える。また、平成26年度は台湾の家事事件法との比較を行い、当初の予定を越えた研究の進展の部分もあった。 もっとも比較法的研究としては、比較の対象をもっと広げて研究を行う予定でいたことからすると、なお不足の部分も残った感は否めない。
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今後の研究の推進方策 |
比較法の対象をなお広げることにより、他国の家事事件手続への取り組みに関する知見を広めることが今後の課題となる。まずは、多くの研究協力者のいるオーストリアやスイスなどの状況を把握すること、また平成26年度におこなった台湾での調査の発展形態として、韓国(9月訪問予定)と中国などアジア各国での家事事件手続に関する法の研究などを行いたい。 また平成27年度は、本研究期間の最終年度に当たることから、研究テーマに関するまとめとして、科研申請した課題そのものを題とする論文の執筆を試みたい。そのために平成27年度の後半は、この2年間で収集した資料や調査結果の読み込み、分析を行うことに当てる予定である。研究成果を個別論文として発表し、これらを総合して単行本を公刊したいと考えている。
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