研究課題/領域番号 |
25380122
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
川島 いづみ 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (50177672)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 非財務情報の開示 / 統合報告 / 非財務情報の開示責任 |
研究概要 |
平成25年度の研究実績としては、つぎの2点を挙げることができる。第1に、イギリスにおける非財務情報の開示に関する2013年の改正規則(これによる会社法改正)について、国内において入手できる文献・資料等を収集してその概要を把握し、改正に至る経緯、改正の具体的な内容、会社法の開示規定におけるその意義、統合報告との関係等をまとめた。イギリスでは2013年規則による改正(同年10月1日施行)によって、非財務情報の開示媒体は、戦略報告書と取締役報告書とされ、開示内容の追加や整理がなされている。このようにしてまとめた内容は、所属大学内の研究会である早稲田大学金融商品取引法研究会(2013年10月25日開催)において報告し、研究会参加者とこれについて質疑応答・意見交換を行った。また、その内容を原稿にまとめた(平成25年度内は未公表)。 第2に、このような作業の中で抱いた疑問点等と、法改正を受けて現在イギリスで進められているガイドライン作成作業について、担当者から聴取調査を行うとともに、必要な資料を現地で収集するために、2014年3月4日から3月9日までロンドンに出張した。ロンドンでは、ロンドン大学高等法学研究所の図書館等で資料収集を行った他、財務報告評議会(Financial Reporting Council)と国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council)を訪問して担当者からの聴取調査を実施した。平成25年度の残りの期間は、この調査によって得られた資料や知見の整理に当てた。その検討・分析は次年度以降の研究において行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
イギリスにおける非財務情報開示に関する改正規則(会社法改正)について、その経緯・内容・会社法上の意義をおおむね把握することができ、学内研究会でこれを報告することもできた。海外調査も行い、所期の目的を達成することができたといえる。しかしながら、海外調査の時期が、イギリスにおける改正規則の施行時期や学内業務との関係から、2014年の3月初旬になってしまい、年度内には、海外調査によって得られた知見等の整理までしか行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
イギリスにおいて、2014年の中旬ころには、FSAによる新たな非財務情報開示に関するガイドラインが公表される予定であり、また同年の秋以降には、改正法に基づく実際の情報開示が企業によって行われることになる。平成26年度は、公表されるガイドラインの検討・分析と実際の開示事例の調査・検討を行い、これをこれまでの調査・検討結果とまとめていく作業を行う予定である。また、同年度以降、そうした検討・分析の結果とわが国の法規定との比較検討をまとめて、研究論文の作成作業を進展させる計画である。
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