研究課題/領域番号 |
25380127
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都文教大学 |
研究代表者 |
楪 博行 京都文教大学, 総合社会学部, 教授 (20331332)
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研究分担者 |
栗山 修 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (00170093)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 民事法 / 不法行為 / 証券取引 / 学校事故 / 違法行為の抑止 |
研究概要 |
本年度は比較法的観点から、継続的不法行為と違法な証券取引の問題での私人の役割を抽出する研究目的とその研究実施計画に沿って、まずニューサンスおよびプライバシー侵害等の不法行為と違法な証券取引に関する、私人による抑止効果とエンフォースメントの先行研究と基本資料の整理を行った。 上記研究対象にかかる先行研究と基本資料の整理は、以下の手順で行われた。まず研究代表者は、第1に、Litigating Torts Casesデータベースから、不法行為と懲罰的賠償に関する判例収集と判例リストの作成を行い、第2に、Modern Tort Law; Liability and Litigationデータベースから、不法行為事例分析用2次文献による判例の絞り込みを行った。次に研究分担者は、Multistate Blue Sky Regulationsデータベースから、証券詐欺クラスアクションの立法による規制の変遷の確認とこれに特有な特徴について検討を行っている。さらに研究代表者は、Negotiation and Settling Torts Cases並びにSecurity のデータベースを使用し、不法行為と違法な証券取引の事例のうち和解により決着がついているものを抽出して、私人の抑止的効果を妨げている事例の特性分析に着手している。これらのデータベースより文献を収集整理することに加え、研究代表者はカナダにおいてアメリカ・カナダに関する紙媒体資料収集を行った。 以上の本年度研究計画の実施に加え、研究代表者は研究実施過程において生じた新たな論点である学校事故における私人の役割を抽出し、それに対する検討を加えた。学校という限定的範囲における不法行為の解決のために、違法性の除去とエンフォースメントにいかなる形で私人が関わるのか、その点について教師の責任を軸に考察を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度研究実施計画においては、ニューサンスおよびプライバシー侵害等の不法行為と違法な証券取引に関する、私人による抑止効果とエンフォースメントの先行研究と基本資料の整理を行うことが目標とされていた。この計画は本年度下半期半ばでほぼ完成するとともに、本年度末のカナダでの紙媒体資料の収集で補強された。 以上のように、本年度の研究進捗状況が当初計画を満足させるものとなっているとともに、学校事故という新しい論点にかかる資料収集とその分析検討が加えられている。したがって、当初の計画以上に進展していると評価可能であり、また次年度以降の研究実施にも良好な影響を与えるものとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては、昨年度研究に引続きアメリカ法における不法行為並びに不公正な証券取引にかかる事例を検討することにより、それらの理論的傾向を確認することを研究目標とする。特に継続的不法行為と証券取引の実体法から現れた、わが国に有意と考えられる理論の有効性についての検討を行なう。損害賠償そのものに関しては、まず損害賠償の抑止性と将来の損害賠償の可能性について、次に損害賠償認定のための要素の分析を行う。不公正な証券取引においては私的な訴訟とSEC の規制との間の救済上の関連と有効性に関する検討が主となる。
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次年度の研究費の使用計画 |
支出予定物品費のうち研究関連英文書籍につき、英文書籍が計画時点よりも円安となったため、円換算で高額化した。そこで、予定購入書籍を一部割愛し、カナダにて複写により代替せざるを得なくなった。円安による損失並びに複写代金および当該書籍代金とを相殺した結果、12950円の余りが発生した。 計画時点よりも円安傾向が継続しているため、次年度において支出予定物品費のうち研究関連英文書籍購入費用での、円安による円建て高額化から発生する損失分に充当する予定にしている。
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