研究課題/領域番号 |
25380127
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研究機関 | 白鴎大学 |
研究代表者 |
楪 博行 白鴎大学, 法学部, 教授 (20331332)
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研究分担者 |
栗山 修 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (00170093)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 民事法 / 不法行為 / 証券取引 / 違法行為の抑止 / エンフォースメント |
研究実績の概要 |
本年度は、アメリカ法における不法行為並びに不公正な証券取引にかかる事例を検討することにより、違法の行為の抑止とエンフォースメントにかかる理論的傾向を分析した。これは昨年度に実施した研究代表者によりカナダにおいて収集されたカナダおよびアメリカの資料、さらに本年度に入手した新規資料を中心になされた。以上の検討に加え、継続的不法行為と証券取引の実体法から現れた、わが国に有意と考えられる理論の有効性についての考察を行なっている。 不法行為については、研究代表者が損害賠償の抑止性および将来の損害賠償を含め損害賠償認定のための要素の検討を行った。また不公正な証券取引においては、研究分担者が私的な訴訟とSEC の規制との間の救済上の関連と有効性、さらにコンプライアンスによる公正な証券取引の検討を行った。 研究代表者は、まず英米における民事的違法行為の抑止とエンフォースメントの中心的役割を懲罰的賠償にあると仮定し、この賠償方法が出現した過程を分析しわが国における損害賠償と比較法的な検討を加えた。つづいて、アメリカにおける不法行為事例の状況が広く英米法圏で影響を与えているのか、すなわちアメリカにおける理論的傾向の英米法圏における伝播状況を分析し、かかる影響の同一法圏内での普遍性があることを論究した。 研究分担者は、コンプライアンスの視点からアメリカの連邦証券関係諸法(Securities Acts)におけるDirector’s liabilityに関する最近の合衆国最高裁判所判決の検討を媒介にして違法行為の抑止とエンフォースメントの考察を行った。それを基に、わが国の取締役の責任について論究した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、違法の行為の抑止とエンフォースメントにかかるアメリカにおける理論的傾向とわが国への示唆の分析が研究目的であった。この研究目的の成果は3編の論文において公表されたように達成されている。これに加えて、広く英米法圏を射程として研究が進行しており、現在までの達成度は当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
まず次年度においては、アメリカの資料で分析した結果を、とりわけイタリアの法制度を媒介にした大陸法圏の状況を対比させ、違法行為の抑止とエンフォースメントの比較法的検討を行う。次に、研究期間の最終年度に向け、損害賠償機能の抑止効果の一定の総括作業を進行させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
米ドルおよびユーロ高の継続により、米ドルおよびユーロ建の設備備品費たる書籍費用が当初の予算を超過し、当該超過分が予算残額を圧迫した。計画していた研究代表者と研究分担者研究会において使用する、記録作成、海外研究者との相互連絡、そして海外データベースのアクセスのためのコンバーチブルパソコンの購入が不能となった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度物品費のうち設備備品で当初計画していた一部書籍につき、その購入を控えて複写で代用し、当該費用と本年度残額たる次年度使用額の合算を研究代表者と研究分担者研究会用のコンバーチブルパソコン購入に充てるよう計画している。
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