本研究では、国際漁業分野における新たな規制概念として近年採用されつつある「予防アプローチ(precautionary approach)」の展開について、関連の漁業条約体制における動向や学説・判例等の検討を行った。それにより、科学的不確実性を考慮した効果的な意思決定プロセスの確保が関連国に要求されるようになっていることを明らかにし、かかる規範的発展は国際法上の海洋生物資源保存義務の解釈においても考慮されるべきであることを示した。また、そうして発展しつつある国際法規範に対する我が国の実施状況にも調査を加え、その現状と課題に検討を加えた。
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