研究課題/領域番号 |
25380133
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松本 充郎 大阪大学, 国際公共政策研究科, 准教授 (70380300)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 水資源 / 日本 / 北米 / 越境的 / 水力発電 / 生態系 / 順応的管理 / 統合的ガバナンス |
研究概要 |
平成25年度は、地下水及び地表水が繋がっており、水力発電は地表水の主な利用方法であり、その発電量は火力・原子力等の発電量とのバランスで決まることから、原子力も含めて検討した。 まず、平成25年8月には、鳥谷部壌氏(大阪大学大学院)が米国に赴き、調査を実施した。具体的には、テキサス州エルパソにおいて、国境水委員会(IBWC)においてSally Spener氏に対して国際河川・州際河川であるリオ・グランデ川・コロラド川および越境地下水に関するIBWCの取組み状況についてヒアリング調査を行った。また、ワシントンD.C.の国際合同委員会(IJC)において、Susan Daniel氏に対して五大湖その他越境河川の地下水・表流水に関するIJCの取組み状況についてヒアリング調査を行った。また、平成26年2月末から3月上旬には、松本充郎が米国に赴き、調査を実施した。具体的には、コロラド川流域において、フーヴァーダム・コロラド川導水路等の利水施設の運用・Salton Seaの現状視察や関係者へのヒアリングを行った。次に、Lewis & Clark大学において、Michael Blumm教授と意見交換を行った。第1に、コロンビア川流域において、2011年にESA上の保全計画の一部取り消しと維持流量確保の義務付け判決が下されたが、その後、ダムの運用が改善しサケの遡上量が増えているか否か、コロンビア川とクラマス川における法令の運用・ダムの運用や流域環境の状態について意見交換を行った。また、UC Berkeleyおいて、Holly Doremus教授に面会し、Blumm教授と同様の意見交換を行った。さらに、Rossmann & Moore, LLPにおいてAntonio Rossmann弁護士と面会し、コロラド川における水利権定量化等に関する和解(QSA)訴訟の進展状況を確認し、意見交換を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米国の調査と調査を基にした研究発表、そして水力発電の関連テーマである原子力法の論文の公表は順調に進んでいる(研究実績・雑誌論文・学会発表の項目を参照)。ただし、日本国内及び欧州の調査はまだ進んでいない。また、水利権定量化等に関する和解QSA論文については、公表するには至っていない。
|
今後の研究の推進方策 |
2014年度は、国内・海外において現地調査及び意見交換を行うとともに、順次、研究発表及び論文発表を行う。具体的には、松本が熊本県・秦野市等の国内の地下水保全条例の現状に関する調査を行う。また、米国内について、2013年度の学会発表(QSA)の前提である合理的使用の法理・公共信託法理に関する論文を年度内に公表する。そして、2013年度に行った調査結果を踏まえてQSA論文を修正し、年度内に公表する。その上で、松本が米国の州際河川・州際帯水層及び欧州の国際河川・国際帯水層に関する調査を行い、現地の研究者及び実務家と意見交換を行いつつ、研究を進める。そして、鳥谷部壌は、米加(IJC)に関する論文を完結させ、米墨(IBWC)については調査を踏まえて論文執筆に取り掛かる。さらに、松本が国内法及び国際法全体を俯瞰し、全体の方向を確認する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度への繰越金は546円と誤差の範囲であり、ほぼ予定通り予算を執行した。 書籍を一冊多く購入する等の微調整で繰越金を使用する予定である。今年度も、概ね請求通りに予算を執行する予定である。
|