地下水や地表水は、国境や地方公共団体等の境界を越えて存在するため、持続的な利用を行うための制度設計が容易ではない。また、地下水と地表水は物理的に繋がっており、接続的に管理する必用がある。 本研究は、次の点を明らかにした。米国およびメキシコの間では、水取引や地下水の接続的利用が紛争の火種になっているが、国内的及び国際的な水取引よって利水と生態系保全をある程度まで統合している。日本でも、利水者間の水譲渡・利水用ダムの治水転用・既存ダムの連携運用・流域治水(浸水頻度が高い土地の宅地利用規制等)の組み合わせによって、財政負担や環境負荷を押さえつつ、治水・利水・生態系保全を統合することが可能である。
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